外出の予定のある朝、顔に吹き出物などが出ていたら、とくに女性はガッカリするのではないでしょうか。ニキビ程度ならともかく、ものもらい(まぶたのオデキ/面疔)に至ってはなおさらです。

こんなときにお勧めしたいのが、大腸経です。とくに、(ごう)(こく)()三里(さんり)は、30分程度の弱めの圧での施療で、何度か急場をしのいだことがあります。

「合谷」は手の甲面で、親指と人差し指のつけ根の骨(中手骨と呼ばれる細長い骨)の間になります。正確な位置取りは諸説がありますが、一般的に手首寄りの関節付近がよく効くようです。あるいは、押して痛むところにカップを吸着させてもよいでしょう。

 「手三里」は腕の親指側で、肘からやや手首方向に下がったところにあります。肘を曲げたときの、腕の筋肉が盛り上がったところが目安になります。

 カップの大きさは、「合谷」は2~3号ぐらい、「手三里」は3~4号ぐらいが適当でしょう。また両穴ともカップのはずれやすい場所ですから、その場合は圧を調節して連続吸引をしてください。

 ただし、この施療が効果的なのは発症の当日など、ごく初期の段階に限られているようです。何日か経過し、ある程度腫れが大きくなっている場合には、よけいひどくなってしまうことも多いのです。

 もっとも、腫れが大きくなると早く破裂して膿が出て、早く治るという経過をとりますから、このほうがよいのかもしれません。

 吹き出物やものもらい(面疔)などは、野菜や睡眠の不足、飲酒やカゼといった、ちょっとした不調でも再発しがちですが、芯が残っているとこの傾向が強まります。芯は、しっかり膿ませて爆発させたほうが残りにくいことは、ご存知のとおりです

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大腸経『合谷』と『手三里』。
それぞれ2号3号カップを
二又ゴム管を使って連続
吸引。
ダイヤルを調節することで、
適度な吸引圧を設定する
ことができる。

大腸経は、手の親指・人差し指から腕や肩の前面を通り、顔面へと連なります。したがって顔の吹き出物やものもらいが、手の大腸経で施療できることは理解できます。

 しかし、顔面に連なる経絡はほかにもあるのに、なぜ大腸経が効果的なのでしょうか? また、大腸自体は下腹部にあるのに、なぜ経絡は遠く離れた手や顔面にまで及んでいるのでしょうか?

 ずいぶん以前の話ですが、大腸にポリープが多数あった方をみていました。腰や腹部の施療はもちろんですが、大腸経をさぐってみると、見事に経絡にそって腕の筋肉がひきつり、触る程度でも痛みを訴えました。

 ちょうど左右の「合谷」から肩髃(けんぐう)」(肩の関節近く)にかけてでしたが、ここが大腸経の領域と知ると、その方は目を丸くして驚いていました。腕の筋肉のひきつりや痛みは本人も自覚していたのですが、大腸のポリープとは無関係の症状と思っていたのです。

 大腸ポリープに関しては、大腸経「手三里」を中心に痛みがあるという話や、大腸ガンの方が大腸経にそって腕の皮膚が陥没していた、という話も聞いたことがあります。

 腕に大腸の反応が現れる理由はわかりませんが、「大腸=大腸経」という経絡現象であることは明らかでしょう。

 また、あるベテラン実践家からは、五十肩やその前駆症状などで肩の前面に症状がある場合は大腸の反応部や大腸兪(だいちょうゆ)といった腰の浄血が欠かせない、との示唆を受けました。

 顔の吹き出物なども大腸経が功を奏すること、そして再発しやすいなどから一定の体質傾向があることが予想されます。女性では、生理が近づくと便秘とニキビができるという方も少なくありません。

 やはり根治させるには大腸そのもの、大腸の反応部や「大腸兪」といった施療が必須ということになりそうです。

 そして、大腸の反応部に異常がある場合、肺の反応部にも色素反応が現れることがよくあります。肺と大腸は、東洋医学では一対の関係(陰陽・臓腑)とみているのですが、顔面を支配している交感神経は肺の反応部付近の脊髄から出ているのです。

 ここに顔面部と大腸経のつながりを感じるのですが、これは考えすぎでしょうか。