すべての画像・データーについて無断転用・無断転載を禁じます。 Copyright©2013-2020 健医志 All Rights Reserved.

「一か月後に手術」といわれた蓄膿症の方の施療相談を受けたことがあります。蓄膿症は手術をしても再発率が高く、なんとか手術をしないで治せないか、というものでした。

お会いすると顔の左半面が腫れあがっています。一か月後に手術というのも病院の都合によるもので、本来ならば「即!」という状態とのことでした。

(げい)(こう)」は、鍼灸などの解説本では小鼻のすぐ脇(鼻翼の外側)とされていますが、1cmほど上のほうがよく効くようです。吸玉カッピング療法では鼻の真ん中ぐらいの高さを目安に、2号カップをできるだけ鼻に接触させるように吸着するとよいでしょう。

この「迎香」と「風池」の組み合わせは、鼻の施療には欠かせない治療点で、花粉症などの症状も楽にすることができます。

 この蓄膿症の方も、一か月後にはほとんど完治して手術は中止、病院の医師を驚かせることになりました。しかし、これだけの病状だったのですから、この2穴だけが施療点だったわけではありません。

背中の水泡反応部。上から。肺、脾臓、
三焦の診断点。

『迎香』に2号カップを吸着。小鼻の
やや上で、鼻と頬の境目が付近がポイ
ントになる。

東洋医学では、局所の症状も内臓と関連があると考え、経絡にも内臓の名前を冠しています。この方の場合も、背中にカップを吸着して吸引圧を50ぐらいまで上げると、アッという間に水疱反応が現れました。

 水疱は、瘀血の赤血球の部分を除いたものと考えてよいと思います。それが肺や脾臓、三焦といった内臓の反応部に次々と現れたのですから、やはり鼻だけの問題ではないでしょう。

 「迎香」は、位置的にも効果的にも鼻の中心的なツボですが、経絡的には大腸経であり胃経でもあるという、二つの経絡の連結点です。そして、この二つの経絡の陰陽関係にあたるのが肺と脾臓で、ここに水疱反応が現れたということになります。

 陰陽は相互に影響を与え合い、支え合うという、表裏や兄弟の関係と考えるとわかりやすいでしょう。肺と大腸、脾臓と胃の組み合わせが、経絡の相互関係図で隣同士であることや、五臓の色体表で同じ欄の臓腑にあたることを確認してみてください。

 また五臓の色体表では、鼻は肺・大腸の欄に配置されています。これは、鼻も肺も同じ呼吸器系という理解で、関連は明らかでしょう。そして鼻は、同時に鼻粘膜という粘膜組織をもっているのですが、この粘膜が「(はだ)(にく)」という言葉で、脾・胃の欄に配置されているのです。

 経絡的に「(げい)(こう)」が大腸経と胃経の連結点であることも考え合わせると、どうやら鼻が両系統の交錯点であることは間違いないようです。そして、背中の内臓部の反応は、このことの実証なのかもしれません。