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三焦経『陽白(ようはく)』の施療例。
目の直上部に当たる。
ときには、こんなところが
施療点になることも。........

その後、1か月ほどは経っていたと思います。再び視野に障害が現れたとのことで、どう施療したらよいものか・・・、という事態になってしまいました。一時は明るさを取りもどしていたご主人の表情も曇っています。

吸玉カッピング療法もある程度は継続して行っていたといいますし、私としても、やるべきことは全部やっているのだが・・・、という思いがぬぐえません。さらに一進一退を繰り返していくより仕方ないのか、という気にもなっていました。

ところが、お話ししているうちに、左目の上の額のところが、プクッと膨らんでいることに気がつきました。部位は、ちょうど胆経(よう)(はく)(三焦経との説あり)のあたりで、ぶつけた後のタンコブのような感じになっています。

そのことを質問すると

「ここにカップを吸着したわけでもないのだが、なぜか腫れてきた」

と不思議そうです。

「何年も前に強打した場所なのだが、関係あるわけないし・・・」

さて、何年も前に強打したこととは本当に無関係なのでしょうか? 私は、ある医師の学会発表資料(データ)を思い出していました。交通事故や打撲、骨折、手術などの5年後、10年後に、別の疾患を誘発していると考えられるケースについての、病院でのデータです。

瘀血は滞った血液ですから、解消されなければ何年でも残っていておかしくありません。そう考えると、目の上の打撲によって生じた瘀血が、何年か後に目の疾患を誘発した、ともとらえられます。

また、吸玉カッピング療法によって、目の周辺や関連部位の血流を改善することで、原発の古い瘀血が浮き上がってきたと考えても、さほど不自然ではないでしょう。(とはいえ、額のすぐ下は骨ですから、不思議といえば不思議ですが・・・)

「この場所を、思い切って施療してみましょう!」

ご本人は、私の話の内容には半信半疑の様子でしたが、とりあえず施療してみることになりました。そして、結果は上々。喜びのお声をいただき、それ以来、再発はありません。

ご主人には、何年か経って、たまたま栄養食品を購入に来られた際に偶然お会いしました。目の調子を尋ねると、

「そういえば、何だか治っちゃったね」

私としては、けっこうインパクトの強い経験だったのですが、拍子抜けするぐらいの軽いご様子でした。

すでにもう、すっかり過去の出来事で、意識にのぼることもほとんどなくなっているのでしょう。でも、それでよいのだと思います。空気や水のように、意識しないのが「健康」の証、と思うからです。