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痛みの範囲が広いため、これだけの情報で決定的な施療経絡を見極めるのは難しいと思います。腹部にはたくさんの経絡が通っているからです。ただ、炎症的な症状ですから、陰よりも陽の経絡のほうがよいだろうと考えて、腹部を通る経絡の中から胃経(陽明)と胆経(少陽)を選びました。
 
 また、ツボは胃経「梁丘(りょうきゅう)」 と胆経「外丘(がいきゅう)」を使いました。この2穴は、ともに急性症状によいとされる「郄穴(げきけつ)」という特別なツボに当っています。 

胃経「梁丘」は、膝の上方のやや外側になります。4~5号カップの縁が、膝のお皿の骨(膝蓋骨=しつがいこつ)に

触れない程度に吸着させるとよいと思います。
 

 胆経「外丘」は、膝下外側の骨の出っ張り(腓骨頭=ひこつとう)と外クルブシの真ん中に位置しています。おそらく

3号カップ位が扱いやすいでしょう。
 

 二又ホースを使い、この2穴を40ぐらいの吸引圧で連続吸引していると、1~2分で痛みが和らいできたといいま

す。そして5分ほどで、だいぶ落ちつき、10分後には痛みの範囲が右下腹部に限定されてきました。
 

 この時点で、問題は下腹部の臓器、大腸は婦人科だろうと予想されました。ただ、便通や生理はまったく異状ないと

いいますし、盲腸の手術も子供のころに済ませています。釈然とはしませんでしたが、とりあえずは症状を鎮静させ、

問題点を絞れたのですから、
「郄穴」の効用と考えてよいでしょう。

身内の話で恐縮ですが、私の妻が入浴後に腹痛で動けなくなってしまったことがあります。その日は朝から何となく腰が重だるかったとのことですが、冷えたのだろうと思い、ゆっくり風呂で温まろうとしたようです。ところが入浴中からお腹が痛み出しついには動けないほどになってしまいました。 

温めて痛みが増したのですから、これは冷えによるものではなく、何らかの炎症と考えられます。しかし、痛む場所が,腹部の右半分と広範囲で、どこに病根があるのかわかりません。また、どんな種類の痛みであるかも、ただ痛い!としか表現できませんでした。
 

急性症状の場合、このように痛みの種類や場所さえ特定できないことは少なくありません。しかし、とにかく鎮静させるために吸玉カッピング療法をすることにしました。 

 まず、痛みで動けないという状態なのですから、施療のために姿勢を変えることには無理があります。この場合は、あお向けでした。 

 次に、炎症が濃厚に疑われましたから、直接患部を施療するのも避けたほうがよいと判断しました。したがって、患部から離れた経絡上を施療することになります。 

 さて、どこを施療したのでしょうか?