施療しようと背中を見ると、腰の両側だけ毛が濃いことに気がつきました。場所は、ちょうど膀胱経「大腸兪(だいちょうゆ)」の外側に当っています。弱いところに毛が生える、という話もありますから、病状(大腸)と関係があるのかもしれません。

 膀胱経「大腸兪」は、背骨の両側で、ほぼ骨盤の上縁の高さになります。そしてこの「大腸兪」には、吸玉カッピング療法でも気になる反応が現れました。

まず右の「大腸兪」は色素反応()で、尾骨部(後述)とともに最も強い色素反応でした。
ところが逆に左の「大腸兪」は、色のない虚の反応だったのです。左右で色素反応に大きな違いがあることは、明らかに異常なことだと思います。また、左右ともにカップが曇ったことも印象的でした。

参考までに他の反応を述べると、肺と腎臓部に色素反応()、肝臓と胆のう部に弱い凝固とガス(肝臓の既往歴あり)、膀胱部に多少のカップの曇り、といったところで、やはり「大腸兪」の反応がポイントだったと思います。

 色素反応もまた、「五臓の色体表」や「経絡・ツボ」といった東洋医学の、大腸を軸にした関連と一致していた、と考えてよいでしょう。今さらながら、色素反応の的確さに舌を巻いた、という次第です

果たして、背部の色素反応は?

◎腰の両側だけ毛が濃い。

五臓の色体表と、
経絡に沿って発症している
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同僚が「皮膚病になった」と言って左右の腕をポリポリと掻いていました。市販の薬は使わず、アミノ酸のエキスを塗り始めたとのことですが、痒さには閉口しているようでした。

普通、皮膚病は体の外からの感染症と、体の中からのものとに大別されていますが、どちらも患部はアルカリ性になっているといいます。

 本来、健康な皮膚は弱酸性で、この酸の殺菌作用が体外からの感染症を防いでいる意味合いもあるのです。したがって感染症ではあっても、皮膚が健全な酸性を維持していないことが、発病の前提となっているのかもせれません。

また体内からの老廃物(瘀血)もアルカリ性とも考えられますから、いずれにしても患部に酸(アミノ酸のエキス)を塗ることはよい措置だと思います。

さて今回の皮膚病ですが、場所は両肘の日焼けする面が中心で、ちょうど大腸経「(きょく)()」に当たる位置でした。「曲池」は肘を曲げたときのシワの先端になります。吸玉カッピング療法の場合も肘を曲げ、吸引ホースをつないだままの連続吸引にすると4~5号カップでも吸着できます。

患部が大腸の経絡であることを伝えると、同僚君は思い当たったのか、「実は10年来の痔主なんだヨ」と告白されました。

「イボのほう?

「そう。体調によってひどくなるんだ」

痔は肛門部の疾患ですから、大腸との関連は濃厚です。
 そして、このことを聞いて、私もあることに気がつきました。それは、彼が味噌汁もトウガラシを煮込んでつくるほどの辛いもの好きだということです。

「五臓の色体表」の大腸の系統には五主の欄に「皮膚」、五味の欄に「辛味」と載っています。しかも、皮膚病の部位も大腸の経絡上で、東洋医学的には一連のつながりと考えられるのです。

彼は、しばらく「五臓の色体表」を眺めていましたが、吸玉カッピング療法をすることになりました。