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 治療したら、痛くなった!
 

約1週間後、この男性は2回目の施療に現れました。ところが、

「施療をしたら、かえって足が痛くなった。足湯もやってみたのだが、私にはこの施療は合わないのかもしれない」

そこで足を触ってみると、前回ほど左右の温度差は感じられません。また、膝下外側の筋肉の引きつりも軟らかくなっています。

「痛みは、治る過程で現れた症状です。状態は明らかによくなってきていますから、ぜひ続けてみてください」

実は初回の施療時に、いったん痛くなってから治るケースもあることはお話ししていたのですが、実際に痛みがでるとやはり不安はあるのでしょう。ご本人にすれば、シビレ感より痛みのほうがつらかったりするわけですから。しかし、ここで施療を中止してしまえば治らないことになります

これは神経痛だけでなく脳卒中の後遺症などでも同じなのですが、感覚異常の場合、最も重症なのは何も感じないという麻痺状態です。感覚がないということは、ほとんど知覚神経が機能していないことを意味しているのは明らかでしょう。

そして、やや神経が作用しているレベルであれば鈍いような麻痺したような感覚となるはずで、この状態がシビレ感という表現なのだと思います。

これに対して、痛みというのはハッキリとした感覚ですから、それだけ神経が作用しているともいえるのではないでしょうか。もちろん痛みの種類や個人の表現差の問題はありますが、少なくとも一度痛くなってから治るという経過の説明にはなると思います。

この方も、何とか週に1回の施療をつづけ、約2か月後にはほぼ完治という状態になりました。そして現在は、再発防止のためにご自身で吸玉カッピング療法をつづけているとの連絡を受けています。

神経痛や脳卒中の後遺症などに伴う知覚異常では、痛くなったからといって施療を止めてしまうのは、大変もったいないことだと思います。特に脳卒中の後遺症の場合、痛みは脳の神経細胞が生きているという証でもあり、痛みすら感じない状態よりも軽症と想像されるからです。