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胆経「肩井」に5号カップを吸着。
やや前方から吸着させるイメージになる。
大きなカップは吸着しづらい。

三焦経「天髎」のやや前方で、肩の高まりをわずかに越えたところに、胆経「(けん)(せい)というツボがあります。この2穴は非常に近い位置にあるため、一緒くたに解釈している方もいるようですが、基本的には,別々のポイントです。

とくに胆経「(けん)(せい)には、5号カップを吸着させることができません。また、三焦経「天髎」とは近接していても面が違いますから、ひとつのカップ内で一緒に施療することも難しくなります。このため(けん)(せい)は、ついつい「施療もれ」となっていることが多いように思います。

この方の「肩井」付近をさぐると、肩の前縁にそって策状の硬いスジがありました(ここは前後方向にさぐると見つけやすい)。経験的にこの策状の硬いスジは、胆経肩コリの典型症状と考えられます。三焦経「天髎」部は改善されても、胆経「(けん)(せい)部のコリが残っている、というのが今回の訴えの原因ではないでしょうか。

(けん)(せい)の実習は、枕をはずしたあお向けの姿勢でおこないました。座った姿勢での首や肩の施療は、血圧の低い方の場合は意識が遠くなるなどの危険性があります。

また、うつ伏せでは顔が右か左に向いていることが多く、左右の(けん)(せい)に同時にカップを吸着することは困難です。さらにうつ伏せで「天髎」、仰向けで(けん)(せい)を施療するというのが、時間効率のよい実践的な方法だからです。

そのほか、あお向けの場合は位置を決めやすいという利点もあります。それは(けん)(せい)がちょうど乳首をまっすぐ上に延ばした線上にあるからで、目で確認しながらカップを吸着させることができます。この線(乳頭線)と肩の上縁が交わるところを目安に、やや前方から吸着させるようするとよいでしょう。

カップは、おそらく3号・4号ぐらいが適当だろうと思います。傾斜型のカップを用いるとさらに施療しやすくなります。今回の実習では強めの吸引圧5分で、赤黒い色素反応が現れました。予想外な「肩井」部の瘀血の存在に、どうやらご本人も納得されたようでした。

なお、胆経「肩井」部の肩コリは、なで肩やいかり肩で頑固な肩コリの持ち主に比較的多く見受けられるように思います。また、怒りをガマンせざるをえないといった精神状態のときに、片側だけに強いコリが現れることもあり、このコリが首の側面や側頭部にまで及ぶと片側の頭痛や眩暈(めまい)を発症する、という傾向もあるようです。

思い当たりのある方は、早め早めの吸玉カッピング療法をお勧めいたします。