頭のてっぺんの中央に、督脈(とくみゃく)の「百会(ひゃくえ)」というというツボがあります。頭痛やめまいのほか、目、鼻、耳の疾患、自律神経の調節など幅広い効果を発揮するツボです。

 ここは、すぐ下に頭蓋骨がありますから、触ってみると硬いのが普通です。ところが、中にはブヨブヨと軟らかい人がいます。触ってみてください。

 頭の中には脳があり、いわずと知れた人体の中枢ですが、ここは血液循環から見ると末端になります。頭へ行った血液は、
必ず心臓へ帰らなければなりません。その最末端に「百会」は位置するといってよいでしょう。

 血液循環は末端で滞りやすく、血液の血管外への漏出も起こしやすいのです(これは微小循環障害として、科学的にも明らかにされてきました)。おそらく、こういった状態のサインが「ブヨブヨ」ということなのだと思います。

 頭が軟らかくなってきたら、ぜひカッピング療法を始めてください。

 「百会」は、左右の耳をまっすぐ上で結んだ中央で、少しへこんでいたり、押すとツンと感じたりするところです。

 カップの吸着は、ダイヤルを調節しての連続吸引になります。髪の毛に対しては前回の「風池(ふうち)」を参考にして、
うまくクシやヘアピンを利用してください。

 また、どうしても吸着できないときには、3~4号カップなど小さめのものを使用してもよいでしょう。

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経絡経穴図 督脈20百会 
     宝栄企画から

  血液循環の末端での滞りは、次第に周辺部へと及んでいきます。そして、「百会」から目の方向であれば目の症状、鼻の方向であれば鼻の症状がでるという見方もできると思います。

 また、「百会」という血流の最末端を強制的に吸引することで、患部の滞りを引きつけたり、流れやすい状態を呼び込んでいるという考え方もあるでしょう。どちらにしても、応用範囲が顔面全体に及んでいることは理解できそうです。

 これに対し、顔面のツボは脳からの神経の出口に当たっていることも多く、即効的な効果が期待できます。また、病状と色素反応の強さとの相関関係もはっきりしているように思います。

 しかし、局所のツボだけでは効果が長続きしなかったり、軽い症状しか治められない、といったことが多いものです。

 さらに、目や鼻、耳といった病いには、頭痛やイライラ、頭がボーっとするといった頭や精神的な症状がつきものとなっています。

 やはり、頭部全体の血流を考えた方がよいということでしょう。「百会」は、後頭部などに次ぐ、大切なポイントのひとつなのだと思います。そして、触ってわかるほどの「ブヨブヨ」状態であれば、ひいては脳圧の高まりも想像されます。

 頭部という重力に逆らった高い位置に、しかも相当量の障害物があるわけです。さぞや心臓や動脈は、大活躍を強いられていることでしょう。もしくは、脳内の圧力や環境を維持するために、何らかの体液を脳外へ排出した結果とも考えられます。

 もし、そうであるならば色素反応よりも、むしろ虚の反応やコブになったほうが問題は大きいようにも思えます。いかがでしょうか?

 いずれにしても「ブヨブヨ」状態では、すみやかな施療。そして頭だけではなく、もっと広い範囲での血液循環を意識した施療が
必要になってくると思います。
 「あなたの頭は硬い? それとも軟らかい?」