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   膀胱経と胆経は、頭から足先まで連なっています。とくに足首近くのツボは頭と関連が深く、頭痛などの症状を楽にすることができるようです。

 前述の施療例の場合も、右の「上天柱」に対応するように右足だけ膀胱経(ふよう)が腫れたようになっていました。「上天柱」も「跗陽」も膀胱経上のツボで、つながりを感じさせます。

 「跗陽」は、一般に色素反応の出にくいところですが、ときに紫色になったり、押すとシビレるような鈍痛のあることもあります。

 場所は、外くるぶしの後ろの上、数cmくらいのところです。足の外側の骨に、後ろからカップを当てるようにするとよいでしょう。おそらく3号カップぐらいで、連続吸引になると思います。

 足の刺激が脳の血流をうながすことは、動物実験でも明らかになってきました。高齢者が骨折などで寝たきりになると認知症のような症状を現すことがあることも、歩かないことによる足の刺激不足が原因ともいわれています。

 足を施療することで後頭部がほぐれ、脳の血流をうながし、さらには頭への直接吸着もしやすくなると思われます。

 後頭部の施療をイヤがりだしたり、刺激が強く感じる場合、あるいはノボセるなどの症状がでてしまう場合には、ぜひ経絡を応用してみてください。

 頭と足は離れていても、つながっているのですから。

「最近、後頭部の施療がイヤなんです」

 たまに聞く言葉です。ただ面倒という理由だけならよいのですが、施療が痛く感じるようになったり、ノボセやすくなっているのでしたら、聞き流したくはありません。

というのは、脳卒中の前ぶれの一つに、後頭部が張ってくる、という症状があるからです。おそらく、普段よりも刺激を強く感じるようになっているのでしょう。また、一度発作を起こした方は痛みを感じやすい、といった傾向もあるようです。

後頭部の施療点としては胆経「風池」が順当ですが、その真ん中のボンノクボもほぼ同じような効果が期待できます。

 ボンノクボに5号カップを当てると、督脈「(のう)()」「風府(ふうふ)」、膀胱経「(ぎょく)(ちん)」、「上天柱(じょうてんちゅう)が、ほぼカップの中に収まると思います。実戦的なツボの目白押し、といったといったところで、とくに「上天柱」は、「天柱」という有名なツボ以上に効果を発揮することがある、膀胱経の非常によい施療点でもあります。

 施療室でも、「上天柱」を意識させる施療例がありました。偏頭痛と首が回りにくいという訴えに、まず「風池」を施療し、キツイ症状はほぼ治まりました。ところが、後頭部から上のほうへピリピリといた痛みが出てきた、というのです。

 これは、今まで強い症状に隠れてわからなかった、大後頭神経痛(後頭、頭頂部付近に痛みをおこす神経痛)が残っていただけなのです。ところが、ご本人にすれば新たに症状が現れてきたという感覚で、施療現場ではよく出会う、ありがちな話です。その後「上天柱」を施療し、痛みはなくなりました。

 「上天柱」は、首の後ろの筋肉が後頭部に付着するところです。「風池」も内側へカップをずらして吸着させれば、「上天柱」を一緒に施療することができますが、いつも同じ位置で施療していると、真ん中が残ってしまうこともあるのです。ときにはボンノクボや「上天柱」も意識してみてください。

 ボンノクボは、5号カップ一つ済むため刺激も少なく、痛みの強い場合や緊急時にも吸着させやすいといった利点もあります。